「ルーラでカザーブまで飛んで馬車に揺られて二日間!やっと来ましたシャンパーニの塔!
でっかーい。すっごー。ね?クロト」
「こっちに振るな恥ずかしい。アリアハンにもナジミの塔があっただろうが」
「いややっぱ大きさってもんが・・・って恥ずかしいって何!?
「静かにせんか」

天誅とばかりにヒスイは双子の頭を叩いた。
力を込めて。


うんざりしながら笑顔は忘れず(クロトはいつもの「対、赤の他人用笑顔」で乗り切っていた)、
ルーラで飛ばされてカザーブ。
カザーブでは町に入ることすら叶わず馬車へ。
そのまま問答無用の暇人生活二日間。
やっと、の解放である。

「さー、じゃぁサクサクそのカンダタとやらをぶっ倒しに行きますか!」
「仮にも盗賊団じゃ、息を潜め、最低限の会話は控えろ」
「はーい」

笑顔で手を挙げながら、何故かミレーナの足下には蒼の魔法陣ができる。
何事かと見やるヒスイと、見覚えのあるそれに驚くクロト。

「おい、ミレーナまさか」
「そのまさか!トラップは奥から解いた方がやりやすいし、不意打ちにもなる。
やばいと思ったらリレミト使って出てくるから、挟み撃ちにしよ」
「・・・わかった」
「んじゃまた後でねー」

バルシーラ、と唱えられた途端ミレーナは消えた。
魔法陣も消え、残ったのは風のみ。
目をパチクリとさせ、ヒスイはクロトに答えを求めた。

「バルシーラ。ルーラはイメージできないとその場所には行けないからな。バルシーラで無理矢理自分の体飛ばして行ったんだ」
「な、無茶じゃ!敵の数も未確定じゃというのに・・・!」
「そう思うのなら、早く俺らが上に行くんだ」
「・・・・・わかった」

言うのが速いか、クロトは塔の中に入る。
クロトと塔の最上階を見比べ、ヒスイも頷く。

そこは盗賊のアジト。
金の冠を奪った黒い馬たちの。



「・・・にしても、あいつ何時の間にバルシーラなんかを?」



ドンッ、という音と共にミレーナはシャンパーニの塔の最上階に着いた。
使っていないのか、整備も何もない。

「痛たたたた・・・着地失敗。やっぱルーラみたいに上手くはいかないかぁ」

打った箇所をさすりつつ、服についた汚れを払った。
一応下の階と通じてはいるのか、ほこりを被った階段を見つける。
よし、と一声あげるとミレーナは降りるのではなく、足下の砂などを払うと階段から離れたところにに座り込んだ。

「(クロトたちが暴れ始めるの待ったほうがいろいろと好都合だしね)」

戦力分散は戦術では基本。
最初がラスボスだったらどうしよー、等と言いながらミレーナは空を見上げた。
少し日差しが強いが、気持ちの良い天気である。

「・・・あ、さっきの音で気づかれてたらどうしよう」







嫌な予感は当たり、数分とせず何人かの盗賊が上がってくるのであった。












NEXTorDQ TOP