二人は、あいしあっていました。
むすばれることは、時間のもんだいでした。
けれど、かみさまは二人をみすてました。
しゅぞくが、ちがったからです。
かみさま、なんで二人をみすてたんですか。


女王の提案をミレーナたちが拒む筈はなく、すぐにでも向かおうとした時女王が止めた。
そして言った。『一人置いて行きなさい』と。
はぁ?と言おうとした所をミレーナは押しとどめる。
相手はエルフの女王だ。

「逃げられたのではかないませんからね。一人、置いて行ってもらいます」
「・・・絶対ですか?」
「はい」

意志を変えようとしない女王に、四人は部屋の端に移動する。
ロマリアでの出来事を思い出したりするが、それは置いておく。

「・・・どうする?」
「僕は行くからな」
「私は行くぞ」
「俺も」
「・・・・・・私も行きたいんだなー、これが」

決まりそうにない。

「うーん・・・ジャンケン?」
「そんなものでよいのか?」
「この際なるようになれでしょ」
「いや、じゃが・・・―――」

ヒスイが何か言いたそうに口を開くが、それと被るようにミレーナが
「じゃーんけーん」と音頭を取り始めたので何も言えずに終わった。

「ぽんっ!」


結果、グー三人にチョキ一人。


「・・・勝ったんだからさっさと行って終わらせて来いよ」

無表情に近いが、矢張り負けたのは悔しいのかクロトは無愛想に言った。
結果、ミレーナ・ヒスイ・シェイドの勝ち。





『五日以内に戻ってきなさい。戻ってこない場合この者の命は無いものと思うことですね。
それと・・・見張りとしてエルを付けます。邪な考えに走らぬよう』

女王にそう言われ、集落を出て早一時間。
結界のため魔物は出ないが、それでも同じような光景を見ながら森を抜けるのは精神を削る。

「いい加減着かないのか」
「シェイドさっきからそればっか」
「そう言ったところで変わりはしないじゃろう?」
「そうそうー。あんた、ちょっと頭の切り替え遅いわよ」

後ろを歩いているヒスイと、横で飛んでいる妖精のエルミシア(エル、と皆には呼ばれていた)が入ってくる。
汚名返上のため見張りとして同行しているエルミシアだが、
口の悪さと気の強さはシェイドやミレーナに負けず劣らずだ。
特にジャンケンに負けた所為とは言え縄を持っていたシェイドにはそれなりの恨みがあるようである。
先ほどからたびたび口喧嘩が勃発しており、ミレーナかヒスイがそれを止めていた。

「虫ごときに言われたくはないな!」
「虫・・・妖精だって言ってるでしょう!?わかんない男ね!」
「はいお二人さんストーップ。エル、あれでいいの?」

見えた洞窟のようなものをミレーナが指さすと、エルミシアは頷いた。
見張りとして立っているエルフに飛び寄ると事情を話しているのか、手でリアクションを加えながら話している。
しばらくすると話が終わったのか手招きしてミレーナたちを呼んだ。
祠に入る際必然的にエルフの横を通ることになるが、ラーファルや女王と同じような鋭い軽蔑の眼差しで見られる。
売られた喧嘩は買う主義のシェイドが止まって睨み返そうとするも、
後ろを歩いていたヒスイに背中を強く押されてそれは叶わぬこととなった。
それどころかバランスが取れず、前に居たミレーナまでドミノ倒しのように押してしまう。

「いったぁ!ちょ、シェイド!あんた何やってんの馬鹿ー!」
「僕に言うな!それはこいつが・・・」
「すまぬ。手が滑った
「て、手が滑ったくらいであんな力がでるかこの馬鹿力!
「何!?馬鹿力とは聞き捨てなら―――」
「貴方たち!置いて行くわよ!?」

何時の間にか差が開いていることに気づかなかったらしい。
少し息を切らせて戻ってきたエルミシアは少々タレ目気味の目をつり上げさせて言った。
ミレーナはドミノ倒しで押された背中を少しさすり、シェイドを軽く睨んで先に進み始めた。
シェイドはヒスイを睨み、進む。
面倒事を起こさないためとはいえ、思わぬ災難になってしまいヒスイは苦笑いした。







この中は一部しか結界が施されてないから魔物が出るわよ、というエルミシアの声を聞きながらヒスイも歩き出す。












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