野宿であるとすると、料理というものは欠かせない。
それがどんなに簡単なものであれ、料理することには違いない。
「・・・で?」
「だからぁ。私たち料理できないから♪」
シェイドは信じられない、という顔で三人を見た。
笑顔でできないと断言したミレーナは、その笑顔を崩さぬままに悪びれもしていない。
クロトはクロトで相変わらず何を考えているのかわからないし、ヒスイは苦笑している。
「今まで、どうしてきたんだ」
「今までって言っても旅立って一週間そこらだし。すぐロマリアだったから困らなかったの」
「野宿は少しぐらいあっただろう!?」
「携帯食」
「そんなんで持つわけないだろう!」
「実際ここまで持っておるじゃろう」
あっさりと答える三人に、シェイドは頭を抱えたくなった。
お前ら、馬鹿だろうと言いたくなる。
いや、言いたいのだがもう何も言う気がしない。

シェイドがこの勇者のパーティに入って初めての野宿。
まさか料理で躓くとは思わなかった。
「確かに携帯食が主になるが、それでも少し手を加えればそれなりに料理っぽくなる」
「へー、シェイド物知りー」
「常識だ!」
「まぁそれくらいは知ってるけど、俺たち剣と魔法ばっかで料理とかしたことねぇんだよ」
「・・・ヒスイは」
「以前は知らぬが・・・何分、記憶を無くしたせいで調理方法もさっぱり」
「セイカと修行してたんだろう」
「師匠の修行が辛すぎて」
駄目だ。役に立たないこいつら。
料理知識、経験共に皆無な勇者パーティはこのままでは餓死だ。
勇者が餓死なんて、格好悪すぎる。
しょうがない、とシェイドは溜息を吐いた。
気分はお母さんだ。


「今日は僕がやってやる。全員覚えろ」
「はぁい」
「うむ」
手際よく簡単な調理に取り掛かるシェイドを三人が囲んだ。
一般的な、本当に簡単なもので十分もあれば終わる。
へー、と感嘆の声が巻き上がる中、あっさりと調理は済んだ。
「終わりだ」
「え、これだけ?」
「一番簡単なものはな。覚えたか」
「うむ」
これが覚えられないのなら本物の馬鹿だが。
全員一応は覚えたらしく、頷いた。
それを確認してシェイドはもう一度溜息を吐く。


「アルミラージって、食えるのか?」
ポツリ、とクロトが漏らした言葉に全員手が止まった。
「・・・・はぁ?」
「アルミラージ・・・あぁ、あの紫のウサギ?」
ラリホーを唱える大変厄介な魔物。
何度か遭遇したことはあるがラリホーにさえかからなければ大して強くはない。
それを、食べれるのかとクロトは聞いた。
「じゃが、魔物の肉は危ないのではないか?」
「うーん、そうだよね。確かにここら辺じゃ一番食べれそうだけど」
「まず、何で魔物を食べるという考えに行くんだ」
「いや、だってウサギだし。もしかしたら食えるかもしれねぇだろ」
あっさりとクロトが答える。
つまりは、食べてみたいのか。
だが全員実は結構なチャレンジャーであるため、少し興味が沸いてきた。
「ポイズントードは、さすがに駄目だよね」
「あれは駄目じゃろう」
「軍隊ガニはどうだ」
「おー、カニがあるじゃん」
「でもあれ、身詰まってなさそうだ」
わいわいと盛り上がる中、不意に紫の影が通った。
「・・・・あれは」
「噂をすれば、じゃな」
「どうするんだ?」
「そりゃあもう、殺るっきゃないでしょう
通ったのは、哀れにもアルミラージだった。
魔物の本能ゆえか、ミレーナたちを見つけると一直線に突進してくる。
ラリホーを唱えながらかもしれないが、正直どうでもよかった。

どんな味がするか、それだけだ。





後日談
Qどんな味でしたか?
「味・・・うーん、薄かった」
「というより、味がしなかったの間違いだろう」
「食感だけじゃったな」
「次は、軍隊ガニか」

END



ぷらうざばっくプリーズ