「あーよかった間に合った。大丈夫か?」
「・・・あり、がとう」
「いやいやどーいたしまして」



夢を、見ていた。



「逃げないの?」
「何で?」
「私、エルフなのに」
「俺さ、種族の差なんて大したもんじゃないと思うんだ」



遠い、遠い夢。



「俺は!アンが大好きです!」
「恥ずかしくないの?ファルもシエラも居るのに」
「だめかな?」
「ふふ。結婚式の予行演習としてならいいんじゃない?」



幸せな過去がそこにあって。



「まったく・・・いい加減お前もやり返すこと覚えろよなぁ。治療してやってる俺様たちの身にもやれっての」
「デュー、言っても無駄です」
「あはは。ごめんデュー、サフィ。でも、村の人達だって悪い人達じゃないんだからわかってくれるって」
「はぁ・・・このお人好し」



幸せな未来もある筈だったのに。



「アン・・・!」
「お、俺たちは悪くない!お前がエルフなんかと…!」



なのに、人間がそれを邪魔した。



「怒れよ。何なら―――」



あの二人の未来を壊した。



「それだけのことをお前たちは我慢してきただろ」



・・・そうだったんだね。



「嘘つき!」
「ファル・・・」
「グランもシエラもデューもサフィも・・・みんなみんな嘘つき!」



これが、あの時に起こった全てだったんだね。




「アン・・・ごめんな。約束、守れなくて」







約束・・・・・・・・。












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